カテーテル治療について

先天性心疾患に対するカテーテル治療の発展

先天性心疾患に対するカテーテル治療は、1966 年頃から、アメリカのDr. Rashkind によって、大血管転換症に対するバルーンカテーテルによる心房中隔裂開術で始まりました(図)。1979 年には、スイスのDr. Gruntzig が、冠動脈狭窄をバルーンカテーテルで拡大する手技を発表しました。その後、新しいバルーンカテーテルが開発、改良され、薄くて強い材質のバルーンカテーテルができ現在に至っています(図)。

 

1982 年にはアメリカのDr. Kan が、肺動脈弁狭窄をカテーテルで拡げる報告をしました。それに先立ち、1981 年には、アメリカのDr. Lock が、動物の肺動脈狭窄をバルーンカテーテルで拡げ、1983 年には実際に患者さんで拡げる報告をしました。この様に、小児心疾患に対するカテーテル治療は、1980 年代前半から発展を続けました。我が国でも、1980 年前半から肺動脈弁狭窄、肺動脈狭窄、大動脈弁狭窄、大動脈縮窄などに対してバルーン拡大術が施行されるようになっています。ことに、肺動脈弁狭窄の患者さんのほとんどは手術ではなく、カテーテル治療を選択される様になっています。

また、心房中隔欠損、動脈管開存、側副血管、冠動静脈瘻などに対し閉鎖栓を用いて閉鎖する手技も開発されてきました。心房中隔欠損に対する閉鎖栓は、1974 年にアメリカのDr. King とDr. Mill が開発したものが最初です(図)。その後、1979 年にアメリカのDr. Rashkind が動脈管開存を閉じる閉鎖栓を発表(図)、1987 年には心房中隔欠損を閉じる閉鎖栓を発表しました。その後も心房中隔欠損や、動脈管開存を閉鎖するための色々な閉鎖栓が開発されてきました。

血管をコイルで閉塞する方法は1975 年にアメリカのDr. Gianturco によって発表されました。その後も血管を閉塞する様々なコイルが開発されています。

心房中隔欠損を閉じるための閉鎖栓のうち、世界中で現在最も用いられているのが、Dr. Amplatz が開発したAmplatzer 閉鎖栓です(図)。世界中で、心房中隔欠損症の患者さんのほとんどは手術ではなく、カテーテル治療を選択される様になっています。

バルーンカテーテルでは拡大できない肺動脈狭窄や大動脈縮窄に、ステントを入れて拡大する手技は、1988 年に報告されました。現在ではステントを用いた治療の数がしだいに増えているのが現状です。

動脈管開存症のカテーテル治療は、コイルで行われてきましたが(図)、2008 年には、Amplatzer 動脈管閉鎖栓が認可されました(図)。保険適用になるのは2009 年からの見込みです。

先天性心疾患に対するカテーテル治療の発展[PDF:2.2MB]